2012年2月 3日 (金)

グヤーシュ風超気まぐれスープ。

去年行ったハンガリーの中央市場で、パプリカのスープ(グヤーシュ)のキットを買ってきた。

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年が明けて作ってみようという気になりキットを開けてみると、「パプリカの粉」と「謎の緑色の袋」と「謎のチューブ」が入っていた。日本語レシピ付でパプリカの粉のことは分かるのだが、謎の袋と謎のチューブについての記述がまったくない。パッケージの文言はハンガリー語だし、ネットで調べてもさっぱり分からない。とりあえずレシピに沿って作れるところまで作り、謎のものは適当なタイミングで適当な量を勘で投入することに。

Howtocook

レシピをざっと読み通してみて、材料の中に味になるもの(出汁スープみたいな?)が登場しないことに気付いたが、とりあえずどんどん野菜を煮込んでいく。
謎袋には、山椒に似た色と質感の粉が入っていた。舐めてみると辛からず甘からず旨からず。香辛料だということ以上の情報が舌からも得られない。ちょっとぐらいじゃあまり風味が変わった気がしなかったから、あれ?もうちょい?ってどんどん追加していき、たぶんおたま一杯分ぐらい投入した。

煮込んでいる間にレシピを読み返し、やべ、あの粉ってうっかり読み飛ばした「カラウェー」だったのかも、と思う。分量は5gとある。ググってみると、カラウェーというのは惚れ薬に用いられるとも。この粉が惚れ薬だったとして、おたま一杯分も摂取してしまって大丈夫だろうか? そういえば、ソファに転がっている旦那が心なしか色っぽく見える気が。そもそも惚れ薬って、私が惚れっぽくなる薬なのか、私が色気を発する薬なのか。
さらにネットで調べてみると、謎袋がクミンだという別意見も。これがあれか? オシャレ料理のレシピに時々出てきては面倒なので無視していた、見かけるたびに「待つわ(あみん)」が脳内ヘビロテした、これがあのクミンなのか?
このコラムを書いている現在も、カラウェーかクミンかはたまた全然別の粉なのか、また惚れ薬は誰が誰に惚れるのか、何一つ判明していない。


謎チューブの中身は真っ赤だった。何だか分からないまま、悪ふざけたおっさんの絵に警戒しつつ3cmほど投入した。

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ここで味見をしたところ、まったく味がしない。スープ入ってないからだ。
在庫の都合と私の一存で味の素の固形コンソメを投入してみることにした。ハンガリー料理の味のキモとなる出汁スープが、メイドインジャパンのコンソメで良いのか、ハンガリー感が薄れることを危惧しつつ味見をしてみたらこれがとても美味しい。さすが味の素。チューブニンニクやトマトも入れてみたら、ブダペストで食べた記憶のグヤーシュにじわじわとにじり寄ってきた。
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後になって気付いたのだが、謎チューブには「グヤーシュクリーム」と書かれているように見える。これがグヤーシュの味のモトになるべきもの(出汁スープ)だったのかも。これは3cmと言わず30cmぐらいブチューーーッと煉り入れるべきだったのかもしれない。(自信なし)

後日、この記事を書くにあたってハンガリーで同じキットを買った人のブログをいくつか発見したが、皆、味がないといって固形コンソメ入れていた。割とオーソドックスな対処法だったらしい。

私の気まぐれにゆだねられたグヤーシュっぽいスープは、とても美味しかったです。
同じようにこのキットを買い、「グヤーシュ」「謎の粉」「味がしない」等でこのブログに辿り着かれた方、自信を持って固形コンソメを入れるといいです。
あと、謎の粉もおたま一杯摂取したけど、誰にも迫ったり迫られたりしてないです。今のとこ。

2011年8月10日 (水)

捨てられない思い出

大したものじゃないのに捨てづらいものってある。紙袋。何かのネジ。自分のキャラ。

小学生のころに何となくもらってしまった「まりも」は、当時その最たるものだった。かわいい!と思ったけど、生き物だと思ってじっと見てると何だか不気味だ。最初は珍しがって鑑賞していたが、特に変化がなくてつまらないし、ビンに閉じ込めているのは見ているこっちまで息が詰まる。無責任かもしれないが、世話をする限界を(割とすぐに)感じた。幼き心を罪悪感で満たしながら、ある日私はそっと、ラジオ体操会場横のため池に捨てた。

しばらく経ってラジオ体操のついでに池をのぞきこんでみたが、全体的に藻だか何だか分からない緑色がはびこっていてよく分からなかった。きっと新天地に馴染んだのだろう、と思うことにした。捨てたのではない、還したのだ、と。

ラジオ体操の声が聞こえる時期になると、そんなことを思い出す。
あと、マルマルモリモリを聞いても、ちょっとだけ思い出す。

2011年6月 8日 (水)

時の過ぎゆくままに。

昔、仕事でお世話になった先輩・後輩のみなさんより、女子会を開こうと声を掛けていただいた。
30代の女子5人。会うのは3年ぶりくらいだろうか。場所は宝塚ファンの整列出待ちをすり抜けた先、日比谷日生劇場の地下一階にある「春秋ツギハギ」という不思議な名前のダイニングバーを予約してくださった。日生劇場といえば半世紀ほど前に建てられた重厚きらびやかな劇場で、沢田研二がソロデビューのリサイタルを開いたところらしい。


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ジュリーがここ一番のステージに選んだ場所だけあり、その地下のレストランも洗練されていてスキがない。歩く度にパチコンパチコンと音がするパンプスを、昼の間にミスターミニットで直しておいて良かった。半個室になったテーブルの上にはシャンデリアまである。シャンデリアを見ると反射的に金田一少年の事件簿で凶器を隠蔽するトリックに使われた話を思い出すが、オトナ女子会の話題としてあまりふさわしくなさそうなので黙っていることにする。

Tugihagi

すぐに全員が揃った。到着の状況メールが随時行き交うのも、メニューを開く前にひとしきりしゃべるのも女子らしくていい。しっかりしたところとしていないところが同居した女性のアンバランスな感じ。
料理は器も盛り付けももちろん味もすばらしい。野菜が美味しくいただけたのが嬉しかった。お酒がちゃんと濃いのも。店自慢の釜飯で満腹になったけど、デザートの分の別腹に支障はきたさない。(今、タイプミスで「ヴェツバラ」と打った。ヴェルサイユのバラみたいに一気に華麗ワードに。)
デザートのお皿には、誕生日を控えた元同僚のために、チョコで「センイルチュカヘヨマナティ(誕生日おめでとうマナティ)」と描いてもらった。韓国好きの彼女のために半日かけて考えたメッセージではあったが、店の人は滑らかじゃないカタカナは描きづらかったに違いない。続けて読むと宇宙人語みたいだし。


気が付くと4時間が過ぎていた。単純に人数の5で割ると48分。それでもぜんぜんしゃべり足りていない気がする。30歳を過ぎたら時間が過ぎるのはあっという間である。厄年ラッシュでそこそこ辛い経験をくぐり抜けたりもしたが、いちいち振り返っているヒマなどない。
久々に履いたパンプスの足がじわりと痛む。
日比谷の夜が賑やかに更けてゆく。


※タイトルはジュリーのヒット曲です。

2011年4月19日 (火)

スマートフォンの温度。

FOMAからスマホ(Xperia arc)へ乗り換えて一ヶ月。使い慣れて便利になったが、着受信時の挙動にはまだ少し以前との温度差が残る。
FOMAは是が非でも持ち主(私)に知らせたい意気込みを見せてくれていたが、スマホからは「知らせてやるぜ!」という気迫が感じられないのだ。
その温度差を以下に記した。

■着信・受信時 (※設定で変えられるのかもしれないけど)
 【FOMA】
 身を奮わせてワイルドに机上を行進。持ち主に気付かれるまで派手な電飾を発光し続ける。
 【スマホ】
 バイブは小刻みでソフト。
 不在時、知らせる気迫をまったく感じない寂光が側面でさりげなく点滅する。もう光らなくていいからそんなところに僅かでも電力を使わないでほしい。
 画面は、着信時隅っこに捻じ曲がった矢印(極小)が出る。メール受信時も暗い画面のまま点灯せず。


■電池の持ち
 【FOMA】
 2~3日充電しなくてもさほど気にならず。
 【スマホ】
 充電器を持ち歩いてないと落ち着かない。1日外で使っていると、午後はバッテリーの減りを気にしてメールの返信を控えがち。


■ボディ
 【FOMA】
 行進中に勢いあまって自ら落下し、バッテリーのフタが欠ける大怪我をしたが、たまたまそこにあったゆるキャラのシールで留められていた。
 【スマホ】
 専用の液晶カバーとカバーケースでかっこよく武装。


■関係性
 【FOMA】
 トムとジェリーのような騒がしい関係。
 【スマホ】
 渡辺謙と瀬戸朝香のようなオトナの関係。
  (例:ドコモのCMより)
    瀬戸朝香「もっと前に会いたかった」
    渡辺謙「遅くなるかもしれない。いや、遅くなります」


そんなこんなで、スマホにしてから着信・受信を見過ごしてしまうことが増えた。しかしレスを忘れたら忘れたでそれでいいかと思うように、私の方が徐々に順応しつつある。スマホに私の人間関係が淘汰されてゆく。
ちょっと不安ではあるけれど、謎のタイミングで受信する緊急地震速報からも解放されてほっとしていたり。


今流行の無気力な若者きどりか? 無気力相撲か? 八百長メールじゃないんだから人知れず受信するなよ。……と思っていたけど、本気の音量でアラームを設定したら、飛び上がるほど大きな音を出した。何だ。やればできるんじゃないか。(私の設定が悪いのかしら?)

スマホは現代の若者の類型なのかもしれない。クールでポーカーフェイスの裏にはアツいソウルを胸に抱いている気がする。
胸ポケットに入れてあったスマホが銃弾から身を守った、というニュースが聞ける日も来るかもしれない。

2011年3月20日 (日)

震災のこと。

忘れられない大震災から10日。
情報も温かい食べ物もなかなか届かない状況で、
凍えながら家族の安否を気遣う方々、
悲しみを冷却したまま復興活動に勤しまれている方々、
ごくろうさまです。おつかれさまです。本当に頭が下がります。


被曝された方を受け入れられているという福島県郡山市の病院は、以前母がお世話になっていた。
厳しい病状や困難な治療についても親切に分かりやすく話してくださり、負けず嫌いな母の生きる底力を引き出してくださった。
温かい東北弁の看護師さんたちや、共に病気と闘う患者さんたちからも、生きることの尊さや感謝の気持ちをたくさん教わった。
福島県は初めてですごく寒かったけど、母も私も大好きになった。
あの時お世話になった皆様が今も余震や原発の不安に怯え、悲しみを受け止める間もなく治療や復旧作業に奮闘されていることを思うと、心が痛い。


私が今恩返しできることは、震災や被災者の方々のことを心に刻み込み、多くの人と共有・共感すること。
それと同時に、自分にとって必要な情報を冷静に取捨選択して、自分は自分の平常の生活を精一杯取り戻すこと。
今の段階ではその2つを守ろうと思っている。

では実際にしていること。
まずはできる限りの節電や募金。
そして怒らず、イライラしないこと。例え夫が節電に非協力的でも目クジラ立てない。
さんざん繰り返される公共広告機構のCMも、こんにちワンは当たり、同ロングバージョンは大当たりとして、MAXテンションで歌うようにする。それだけでCMの切り替わりもちょっと楽しくなる。
ウクライナ語で「スピードが命なんだよ」と言えるようになってる。
暗い状況を少しでもプラスに変えようという、私なりのささやかなライフハックだ。
それにしてもパーデンネンみたいな「さようなライオン」は、パンチ効いてて毎回目がいってしまう。

そんなわけで、今日も私は薄暗い部屋で厚着しながら「ポポポポーン♪」と歌っている。明日が今日よりほんの少し明るく温かくなる気がして、勝手にそうしている。
仙台でのプロジェクトがなくなった夫は、先週も休まず出社して新しい仕事の準備をしていた。私が「こんなときによく働けるなぁ」と嫌味を言ったら、東北の人の分まで稼がなあかんやろ、と言った。
毛布にくるまる私をせせら笑う彼も、東北や日本の復興について考えていたのか。足元の電源タップもOFFになっている。普段は絶対やらないのに。
我が家サイズのささやかな「共感」だ。


震災に遭われた方々が、たとえ時間が掛かってもまたにこにこ暮らせる日が来るように、
幸せだった頃の思い出に身を浸すことができるように、
心の底からお祈りいたします。

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